は今日もカウンターに立つ ⑵

メニューはない。注文は言う。「それはなんと無茶苦茶な」苦笑いでしかない。祖母も「そうだね。だけどあんたには解るはずだよ。電話で声を聞いた瞬間で風貌や年齢、性別や好む好まない食べ物や飲み物まで。これまでも何度か話した。その度にあんたはその時に口に付けたいモノを持ってきてくれた。普通は出来ない。この店独自に必要なスキルを持っていた唯一の後継者。本当はあんたの母親が継ぎたいと言ったけどねぇ。それが無い者には無理な店。風香、あんたが三代目」祖母は言い切った。「お婆ちゃんの前は誰?」「あんたと同じ、更にいたお婆ちゃんだった人だよ」目を細めてそのまま眠りについたまま旅立ったのだ。