業火の中で

業火の中で見つめ合う二人。
その瞳にはお互いの顔しか見えていなかった。
崩れ落ちる建物の音も、入り込む風の音も聞こえていない。
その度に羽織る服も靴も燃え消えている。
ただ聞こえてくるのは近付いている吐息だけ。
「熱くないの? 」
「うん。貴女は? 」
「私もかな…。貴女がいる、それだけでいい」
「これで『ひとつの鏡』になれる…永遠に貴女を愛し続けられる」
手と手が交わり、身体と身体が重なり、顔と顔が絡み合う。
静寂な空気が流れる。
口の中で更に絡み合う。
「もっと…もっと…」
「…もう、熱いね」
「貴女もよ。もっと入れて」
お互いの手が更に秘なる場所を求め合う。
手の動きに合わせるように小刻みに腰も震える。
熱しられているであろう石板の床にその身を預けても悲鳴を上げることは一切なく、更に絡み合う身体の思うままに交わり合う。
身体から溢れる液に浸れながら交わり合う。
「と、溶けちゃいそうだね」
「ずっと一緒だよ…ね」
「うん。ずっと一緒…」
「また次に出逢っても私達はずっと一緒だよ」
「うっ…ん。一緒にいこう」
びく、びくんと身体が揺れる。
「もっと…もっと…感じて」
「もっと…! 感じさせて」
完全に身が消えるまで続いた。