最初の客人は

「その本、若い青年の青春小説ですよ。友情や恋愛、未来の葛藤など。実にリアルでまるで聞いてきたかのような文の綴りが人気の秘密と母が教えてくれました。」
「そうかね。」
フラスコの水滴を拭き取る。
「ええ。でもその後にこう言ったのを思い出しました。この本の持ち主からの伝言。「感想を聞かせてください。」と。」
「感想…をね。」
最後の一口を口に含ませた。
パタンと本を閉じる。
再び懐中時計を眺めて言う。
「すまないが伝言を頼む。」
「はい。」
「この本の持ち主に伝えてほしい。『懐かしい思い出をありがとう。』と…だけ。」
「はい。」