編入生-あずま 真那まな

はぁ、はぁ、はぁ…。
私はいつになく激しい寝汗をかいて起き上った。普段の私には有り得ないぐらいの激しい起き上がりだ。
ベッドの上に置いてある時計を見るとまだ夜中の2時になったばかり。
「何よぉ〜、夢ぇ〜? 」
はぁーと息を吐く。
身体が異様に火照っていた。カーテンから漏れる月光に照らされている部屋の中はまるで深海の底にいる様だ。
「うん⁈ 」
チラチラと目に照らされる光の先に光るものがある。
「何かな? 鏡? 」
スマホぐらいの大きさの鏡らしきものが以前からあったかのように自然と置いてある。しかも重い。
「うーん、とにかく汗を流そう。寝間着も着替えなきゃいけないしね」
夜中の家の中は怖いけどバスルームに行こうと腰を上げようとした時に『声』が聞こえた。
『加奈…加奈……』
「え⁈ だ、誰⁇ 」
『見つけたよ、加奈……。久しぶりだねっていうても、随分と古えの話だけど』
「どこにいるの? 出て来なさい! 」
随分と馴れ馴れしく話しかける『声』に恐れを感じる。部屋の中を見渡してもやはり私一人しかいない。
『加奈。あなたが今持っている鏡。それが私』
鏡⁇
鏡を見ると画面に巫女姿の黒髪が綺麗な年齢も私と変わらない女の子が映っていた。
最新のスマホ⁇
いやいや。そんな近未来な展開じゃない。
「貴女は誰⁇ 」
『……忘れたの? 』
「っていうか、はっきりと言って初対面だけど」
『やはり……記憶がないのね。あんなに激しく求め合って『ひとつの鏡』になったのに』
求め合う?
激しく?
「いきなり何言っているのよ! 私、そんなタイプじゃないわ! 」
全否定した。
鏡の向こうの彼女は私を見ていうた。
『なら思い出してあげる。あの業火の中で、あの頃の私達、全ての記憶を』
本当に何を言っているの?
首を傾げた。
同時に鏡から彼女も消えた。
『加奈……また一週間後に会いましょうね。私は真那……』
カーテンが靡くように『声』も消えていった。