古の巫女と『鏡』 ⑵

「さてと久しぶりと言うべきなのかしらね、西の巫女。今の貴女は……」
「分かっている。この身体は西野加奈の身体。ようやく私に堪えれる身体に宿ることが出来た。反対に貴女は無理していたね。その娘、早くしないと死ぬわ」
え?
いきなり死亡フラグ⁇
真那って本当に病弱なんだ。
「分かっている。この真那って娘、あまり両親にも愛されていないから愛し方も愛され方もわからないまま私を呼び覚ましたのが原因。『鏡』は私が醒めてからたまたま見つけただけ」
「そう、可哀想に」
優しい眼差しで真那の身体を触る。
触る手先から妙なほのかな光が見える。
「今回の私の宿り主は察しがいい。そうよ、加奈。今の言葉で表現すればヒーリング。東真那の身体に貴女のエネルギーを入れている」
私のエネルギー?
「加奈。更に言えば貴女、かなりの器だよ。どうしてかはわからないけど貴女の身体には無尽蔵なエネルギーを感じる。多分、この星の歴史の中でも」
私、某魔法少女と同じ?! 地球の歴史?
いきなり話が大きくなっていません⁇
「そうか。戸惑っている。加奈、貴女は私。そして私も貴女。東の巫女が私を探す為にこの真那って娘の身体を酷使しすぎたから。今は少しだけ眠ってもらうわ」
な、何⁈
バタン!
私の目の前の光が消えた。
しかし東とか西とかってなんなのよ!
巫女って何⁈
「それよりも早く私を戻してよ! 」
叫びと同時にビクッンと不思議な感覚を感じた。
「も、戻った! 」
慌てて身体を触る。
まだ何もされていない。
よかった。
はぁ……はぁ……はぁ……と言う自分の呼吸を整えた。
「これは驚いた。私と入れ替わる宿り主なんて初めて見た」
「じょ、冗談じゃないわ。どいつもこいつも私の身体を弄んで」
キッと真那に向ける。
「貴女、東の巫女って言ったよね。本当の真那はそんなにヤバイの? 」
「正確に言うと貴女を探す為に私が『生かしている』。普通の人間の身体……しかもこの未成熟な身体なら本来は私が普通に『鏡』のチカラを借りて出てきた時点でも死んでいた。それなのにあの娘が意識的に擬人化して私を呼び覚ましてしまった」
パァン!
私は思い切りビンタをした。
真那の頬が赤くなる。
「そこまでして探すこと? 」
「貴女に理解を求めていない。ただ、西の巫女なら分かっているはず。『鏡』を早く回収しないといけないのが……」
「そうなの? もう一人の私」
「本当なら東の巫女が持っている『鏡』と合わせたらいいのだが……誰かが持っているか、まだ未開の地に落ちているのか……」
「未開の地? 『鏡』ってそもそも何⁈ 」
「その話の元を今からしよう。終わると同時に身体に疲れが溜まるけど知りたいか? 」
「知りたく無いと言えば? 」
「最低、東の巫女の宿り主の東真那って娘が完全に死ぬ。極端に言えばこの宇宙が壊れる」
そこまで⁇
「そんな有り得ないことが……」
信じられない。
「話がついたようね。加奈、貴女が持っている『鏡』を月が見えるように置いて」
真那の……東の巫女の指示で月が見えるように置いた。
「西の巫女……頼む」
「良し。東の巫女、加奈の身体を抱きしめて。加奈は意識が消えないように私に集中して。しないと同時に貴女の意識が時空の狭間を彷徨う」
「え、え?」
また意識が遠退く。
真那が裸の私の腰に手を回す。腰と腰が密着する。
「行くよ」
バタン!
『鏡』の閃光と同時に部屋には私と真那の身体が人形のように無造作にベッドの上に倒れた。