絵描きの夢は ⑺

私はサイフォンに残った豆のカスを棄てる。彼女は黙々とガトーショコラを食べ、最後にコーヒーを一口飲む。この沈黙の間が耐えがたい。「美味しいガトーショコラにコーヒー。まるで私の好みがわかったかのような味」「ありがとうございます」お世辞ではなく、それが私を主人にした。ガトーショコラは一般的には苦いイメージだが今日に合わせて熟成させた。コーヒーは反対にチェリー感がある豆をブレンドした。

「どれも完璧に近い。私の画の行き着く先になるのかしら」「ジャンルは違えど…」少し引っかかる。「いいえ、ジャンルの違いはあるけれど目指す頂きは同じです」「頂きなんて私にはまだまだ」「そうなのですか?」「はい。まだ駆け出しです」