先生は新人さん ⑶

彼女を連れて店の離れにあるアトリエに来た。「立派なアトリエね」「奥には住居スペースもあるから自由に使っていいよ」「え?」彼女は絶句した。「元々は私達の祖母同士の共有スペースだったみたいだけど私は絵は描かないから貴女の自由にして」淡々と話す私とは正反対に彼女は高揚していた。「それじゃ、私はコーヒー豆の焙煎するから」立ち去ろうとした。

ガシッと手を握られた。「ちょっとぉー、私を置いてきぼりにするつもり?!」頬を膨らまていた。「そうよ。貴女にはコレから昼間は私の従業員になって頂きますから自分の住居スペースは自分で掃除するなり片付けをするなり、自由にしてくださいね」微笑む。「お婆様はそんなこと言って無かったわ。むしろ貴女に絵を教えてちょうだいと話してたわ」彼女は反論したが、どうやらこの手紙とは真逆の話をしたようだ。「それはご愁傷様。うまく騙されたわね、お嬢様」面白いから暫くは私も騙されていたことは黙っておくことにした。