新たな持ち主? ⑶

「植物状態。もう一生、目が覚めるこはない」
やっぱり。
「とにかく術者を探さないと……。加奈、『鏡』持っている?」
「持っているわけがないでしょ。なんで普通の女子高生があんなデカい鏡を持ち歩くのよ」
常識的に無理がある。
普段ならもう教室で予習ぐらいはして紗江と笑い話をしているはずだ。
「……ならば、東の巫女に借りるしかない」
また東さんに?
聞いた途端に全身が熱くなるのがわかる。
「加奈に一番協力的なのは彼女だけだから。とにかく『鏡』で誰かを特定しなくてはいけない」
「でも……」
どんな顔で会えばいいかわからない。
「加奈、何かあったのか? とにかく彼女の側に行って欲しい」
「わ、わかった」
私……『私達』は校舎の中に入った。
学校内に入っても様子が変わっていることなんてなかった。皆が皆、普通に会話をしているし、
普通に見る学校内の日常だ。
「おはよう、西野さん」
「おはようございます、先生」
 先生も普通に話している。
「ねぇ、これのどこが『異常』なのよ?」
 もう一人の私に話しかけた。
「加奈、振り向いてみればわかるよ」
 言う通りに振り向いてみた。一瞬にして青ざめた。
「な、なんか結構ヤバい状況?」
「気付かれないように走ろう」
「う、うん」
 と、一歩、二歩、三歩。
 歩くスピードを上げていく。どんどん速く。
 先程挨拶をして通り過ぎた先生が叫ぶ。
「西野!止まりなさい!!」
「ごめんなさい!止まりません!!」